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漢方民間薬学ノート(14) 2007. 10.17

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎

 つい最近、ある研修会(事務系職員対象)で漢方薬について話しをする機会があった。
 
  そこで、このKOHSEIRENちばに連載してきた拙文を最初から読み直して見た。
 
 ちょっとした間違いやミスプリント等、まあ良しとするものは別として、少し訂正あるいは補足した方が良いと思えるものもあるため、この際、少し紙面を割かせていただくことにした。
 
  漢方処方の基本的な方剤である桂枝湯とその類方の建中湯類について紹介した章の中で、「建中湯という名称であっても、大建中湯は桂枝湯類とは異なり、人参、山椒、乾姜の3つから成る」としたがこれは間違いで、これに膠飴(本来の粳米と麦芽から作る水飴)を加えるため、この4つから成る、が正しい。訂正してお詫びしたい。
 
  なお、この大建中湯は、病態は、大陰病期、虚証にあり裏に寒があり、腸の蠕動不安を起こし腹痛あるものに用いる。一般に、最近は開腹術後の腸の通過障害に多用されているが、証を見極めた上で、使いなれると、非常に効果の高い薬方である。
 
  次に、前回、熱中症に対する白虎加人参湯について記述したが、あえてもう一つ、日射病に使う場合がある薬方、五苓散については触れなかった。
 
  話をむずかしくしてしまうと思ったが故である。
 
  しかし、かなり以前この欄で水滞の説明をした際に、このように記述していた。
 
  「日射病あるいは熱射病の初期には、強い口渇と頭痛が見られる、このような場合もすぐに五苓散を服用すると重くならずに済む(ただし機を逸して冷汗が出現して来ると白虎加人参湯の証となる)」。日射病の始まりでは、頭痛とロ掲が見られるが、発汗はそれほど著しくない。
 
  この時期には五苓散が良いと思われる。
 
  ここで(五苓散も服用せず)水分は充分とっても体内の熱(うつ熱という)を外に放出することを怠ると発汗が激しくなり、冷汗が出てくる。
 
  こうなると白虎加人参湯の出番となる。
 
  来年の夏、暑い最中にスポーツをやる人、山登り、ゴルフ等に行く方は、五苓散と白虎加人参湯のエキスをほんの数包手もとに持って行くと良い。
 
  話題を変えて、これからお酒の美味しい季節となる。最近ではあまり聞かぬが、二日酔いの経験のある方もおられよう。朝になっても吐き気と頭痛が治らない、五苓散が効く。なお、予防には三黄揮心湯、黄連解毒湯が良い、これについては後日解説したい。
 
紫蘇(シソ)
 
  シソ、シソの葉を紫蘇葉、種子を紫蘇子と言う。
 
  シソには良い香りのぺリラアルデヒド、その他の精油があって血行を良くし気分を爽快にする。
 
  人を蘇らす働きをするということで蘇と名づけられたと言う。また、シソには赤ジソ系と青ジソ系があるが、薬用としては赤ジソ系の方が効くというので、紫蘇の名がついた。
 
  紫蘇葉の効能としては、1)アレルギー毒を発散させる。2)自律神経の乱れを整える。
 
  神経の興奮を鎮める働きがある。3)消化の働きをする。紫蘇葉の中の精油は胃を剰激し、胃の働きを活発にする。4)解毒、防腐の力がある。
 
  魚、蟹の中毒に紫蘇が効く、紫蘇油は防腐力があり、紫辟抽20gは醤油一石を完全に防腐すると言われる。魚の刺身にシソをつけ合せるのは、1)、4)の作用を経験的に利用してきたものと思われる。
 
  紫節子についての薬理作用は殆ど同じである。
 
  柴蘇葉を含む漢方処方としては、香紫散があり紫蘇子を使った処方では蘇子降気湯がある、これらについても後述したいと思っている。
 
  民間薬的な使用方として、魚、蟹、鳥獣肉の中寿に、葉5gをせんじて飲む、また、生の集の汁を飲んでもよく、熱湯で葉を振り出し飲んでもよい。
 
  その他には、脳貧血(一過性の脳虚血や失神発作を言う)には、酒をあつくし、ちょこ一杯に葉3〜4枚をひたして飲ませるとよいと言う。
 
  風邪・咳・出血・水虫等に効くと言われているが、筆者には経験がない。

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
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