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漢方民間薬雑学ノート(7) 2006. 03.31

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎

陰陽、虚実、寒熱、表裏、の認識

 これまで、漢方の五臓や気血水について、概略を書いてきた。今回と次回は漢方を理解するには、やはり欠かせない、上記の事柄について少し説明したい。これも主として寺沢捷年氏の解説を引用することにする。
 
陰陽の認識
 生体は五臓の働きにより恒常性を維持している。ここに外乱因子が加わった場合、基本的に2型の生体反応の様式があると考える。これが陰陽二元論である。これは、古代中国の自然観照法が医学に導入されたもので、中国哲学の相対的認識法に基づいて、次のように定義される。「気血水および五臓の働きにより維持される生体の恒常性が乱された場合、生体の呈する修復反応の性質が総じて熱性、活動性、発揚性のものを陽の病態(陽証)という。これに対して、総じて寒性、非活動性、沈降性のものを陰の病態(陰証)という。
 
虚実の認識
 生体が外乱因子によって歪みを受けたとき、その修復反応のために動員された気血の力によって、低反応型と高反応型に分ける考え方が虚実の認識である。実とは充実、堅実の意であり、hypertonus、hyperreactivityに通じる。他方、虚とは空虚、虚弱の意で、反応の場における気血の力が乏しい状況であり、hypotonus、hyporeactivityに通じる。虚実の2型の反応様式は、生体に加えられた外乱因子の力と、反応を支える気血の状態との2要素(のバランス)により規定される。即ち、次のように定義される。
 虚の病態(虚証)とは、生体が外乱因子による歪みを受けた場において動員し得た気血の力が弱い病態であり、一般的には生体全体の気血の量の水準が低いことを背景としたものである。実の病態(実証)は、全体に加わった外乱因子が強力で、これに対して動具された気血の力が旺盛な病態であり、一般的には生体全体の気血の量の水準が高く維持された状況を背景として成立する。
 
陰陽と虚実の関係
 ここで非常に混乱を招き易いのは、陰陽と虚実はどう違うのかと言うことであり、医者の中にも、この辺がわかりにくいので漢方は嫌いだと言う人がいたりする。
 虚実は歪みの場における生体の修復反応の認識であり、基本的には局所の反応の色合いが強い。一方陰陽は、その結果として生体全体が呈する総合的な反応(全身の反応)の性質と考えると理解し易い。この両者は密接に関連しているので、局所反応の実証の場合には、生体全体としては陽証を呈する可能性が高く、虚証の場合には、陰証のことが多い。
 陽実証の代表的な方剤は大柴胡湯、大承気湯等々であり、陰虚証の方剤は四逆湯類、真武湯、人参湯その他となる。しかしながら、人間の体も、疾病も必ずしも単純ではなく、局所反応は実証でも、全体的な反応は陰証である場合も時として存在する。例えば大黄附子湯という薬方がある。下す作用が強く、主として陽実証の領域にある大黄と、温める作用のある陰虚証領域の附子、細辛の組み合わせであり、陰実証の方剤で座骨神経痛で下肢の冷えが強く、便秘があるような場合に時に非常によく効く。
 
スズメ蜂の巣一露蜂房
 大塚敬節氏の香草に、ペニシリンより効く露蜂房という一文があり、筆者も昔2例ほど使用した経験がある。よく農家の軒先などにつるしてある蜂の居なくなったスズメ蜂の巣そのものである。使い方は、半分は生のまま粉末に、半分は少しあぶってから粉末とし、ふるいでかすを取り、等量に合わせ、1回に2〜4gを1日2〜3回飲む。30年も前の経験であるが、化膿性の乳腺炎に非常に良く効いたことを覚えている。色々な化膿性疾患に使用できる。副作用は全く無い。

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
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