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漢方民間薬雑学ノート(6) 2006. 02.24

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎

水滞(水毒)について
 
 漢方医学における水は生体の物質的側面を支える無色の液体である。この水が偏在した病態を水滞あるいは水毒という。水は気、血の量とその循環が正常に保たれていれば滞ることは無い。しかし外来因子(風・寒・湿)あるいは気、血の異常(気虚、疼血)、五臓の異常(特に腎)によって水の停滞、偏在を生ずる。水滞の一般的症状を列挙すると次のようになる。(寺澤捷年氏の著書より)
 
(1)分泌異常
水様性の鼻汁、喀痰、唾液分泌過多、尿量減少又は過多、水様性下痢
 
(2)水の停滞
浮腫、胸水、腹水、腹中雷鳴、心窩部振水音、腹部大動脈の拍動亢進
 
(3)自覚症状
動悸、眩暈(めまい)、立ちくらみ、車酔い、耳鳴、頭痛、口渇、悪心、嘔吐等々
 
 これらの症状の原因が水滞だけで起こるという意味ではなく、例えば頭痛は色々な原因で起こるが、水滞が主因となる頭痛もあるということである。
 
 次に、水の偏在する部位により、次のような諸型に分類される。
 
(1)全身型
全身の浮腫、下痢、めまい感等
 
(2)皮膚・関節型
顔面の浮腫、関節腔など身体の一部のむくみ、朝のこわばり
 
(3)胸内型
水様の喀痰、胸水、動悸、胸内苦悶感
 
(4)心下型
胃部振水音、悪心、嘔吐、下痢
 
 以上の型には移行型や重複型もある。
 
 水滞を主因とする病態あるいは、これを伴う病態は非常に多く、従ってこれに対応する方剤(処方)もかなり多い。ここではその一部を上げておく。
 
五苓散
 
 組成は沢潟(サジオモダカの根茎)、茯苓(切り倒した松の根に寄生するマツホドの菌体)、猪苓(チョレイマイタケ)、桂枝、求(オケラの根茎)である。
 
 口渇と尿利減少を目標として用いる。浮腫、ネフローゼ、二日酔い、急性胃腸炎、下痢、嘔吐、めまい、頭痛、暑気当たり等で表に邪熱があって裏(り)に停水がある病態が五苓散の証である。小児が(時に大人でも)口渇と尿利の減少があり、水を飲むとすぐ吐き、また水を飲み、また吐くと言う症状を呈することがある。これを水逆の嘔吐というが、五苓散はこの特効薬である。五苓散を服用させてもすぐ吐いて終うことがある。くり返して、又服用させても良い。
 
 日射病あるいは熱射病の初期には強い口渇と頭痛が見られる。この様な場合もすぐに本方を服用すると重くならずに済む。(但し、この機を逸して、冷汗が出現して来ると白虎加入参湯の証となる)。
 
 五苓参の桂枝と求の代わりに滑石(白陶土)と阿膠(牛やその他の動物の皮や骨から作ったニカワ)を入れると猪苓湯という処方になる。
 
 膀胱炎、尿道炎、尿管結石、腎孟炎等に用いるが、婦人で、くり返し膀胱炎を起こすような人には非常に便利な薬方である。
 
 この他、立ちくらみに苓桂求甘湯、くり返し穿刺して水を取るような膝関節炎には防己黄耆湯、くしゃみ、鼻汁が激しいアレルギー性鼻炎に小青竜湯など多くの良法があるが又の機会にしたい。
 
小豆(アズキ)
 
 小豆についは実・葉・花共に色々の薬効があるが、代表的なものを紹介する。その一つは、腎炎、ネフローゼ、かっけなどの浮腫に、塩も砂糖も入れずに煮た小豆を主食代わりに食べると2〜3日で尿量が増して浮腫が取れる。二日酔いもこれを食し、汁を飲むと吐き気が止まる。興味ある人は試してみると良い。
 
そばかす、尋常性白斑(しろなまず)
 
 小豆をいってから粉末にし、その約1/3量の米ぬかをまぜてガーゼに包み熱湯につけ、これで1日2〜3回5分間ほど力をいれて患部を摩擦する。そばかすには花をもんで汁をつけても良いといわれているが、いずれにしても半年位はつづける根気が必要とされる。

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
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