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漢方民間薬雑学ノート(2) 2005. 10.31

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎

 民間薬という言葉は、明治時代になって一般に用いられるようになったと言われている。
 
  徳川時代には、救民の秘薬、俗間の秘薬、奇方、和薬、救急薬などの名前で呼ばれていた。簡単に言うと、民間薬は一般大衆が医師の指導によらないで、素人判断でもちいる民間伝承の薬であり、従って、入手が容易で危険の無いことが大切な条件である。
 
  ただし長い歴史の中では、民間伝承の薬でも効力の優れたものは医師がこれをとりあげ用いたため、いつの間にか漢方薬として用いられるようになったものもある。
 
  例えば、伯州散(ハクシュウサン)という、一見、炭の粉そのものの薬方がある。これは津蟹、反鼻(マムシ)、鹿角(鹿の角)を別々に黒焼きしてから混和したものであり、もとは伯耆の国に伝わる民間薬であった。
 
  徳川時代の名医 吉益東洞(ヨシマストウドウ・この人についてはいつか述べる)がこれを取り上げ、家方(家伝の処方)としたため有名になった。慢性の炎症性創傷に、まことに良く効き、外科医が不要になるという意で、外科殺し、または外科倒しと呼ばれている。
 
  ただし、現在の保険収載の漢方薬には入っておらず、一部のメーカーから食品として出されているが、一寸手に入りにくいようである。内服も、外用もでき、私自身も、かつて、何人かの患者さんの褥創に試用して著効を認めている。ただ、見かけが炭の粉なので患者さんが服用を嫌がったことも事実である。
 
  このように、民間薬と漢方薬は、互いに関係があって、材料として両者を判然と区別することは難しいが、強いて区別すれば、民間薬は単味(1つだけ)のままで用いるか、もし2つ以上絡み合わせても簡単なものが多く、素人と判断で用いることができるものだが、漢方はいくつかの薬を配合した処方になっている(まれに一味もある)ため、使用上の目標が決まっており、漢方流の判断にもとづいて用いなければならない。

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
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