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漢方民間薬雑学ノート(11) 2006. 07.31

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎

 前回は八味丸が閉塞性動脈硬化症による間歇軟性披行に効くことを書いたたが、今回ももう一度この薬方について書くことにする。
 
  すでに故人となられたが、千葉の漢方の名医、藤平健先生の一文を紹介すると「(前略)八味丸は丸として用いても、料として(丸薬とせず、せんじ薬として用いること)用いても、その証に従って投じさえすれば、実に神効といっても過言ではないほどによく応ずる。
 
しかも本方証には日常極めて頻繁に遭遇する。(中略)とにかく八味丸は使いやすく、また使う場合の多い薬方である。
 
私は八味丸を礼参する」と書いている。まさに先生は、八味丸を自家薬寵中の物にされていたようで、八味丸の証に精通されていたのであろう。その使用成績も非常に良いのである。
 
  しかるに筆者の場合は、前回述べたように、間歇性跛行には明らかに効果を認めたが、それ以外には著効例はむしろ少なかったのである。
 
  ところが比較的最近、2人の患者さんで、明らかに八味丸が効いたと感じた貴重な経験をした。
 
  一人は60歳近い女性で、27年前に心臓の僧帽弁を人工弁に置換した方である。長期にわたって、抗凝血薬(血栓予防の薬)の他に、強心剤、利尿剤を内服している。
 
ところが2〜3年前から、時々利尿剤の必要量が多くなってきた。つまり尿の出が悪いのである。
 
一般的に使用する利尿剤の他に、利水剤としての漢方薬もいくつか使用した。
 
効果が無い。ふと、この尿不利は心不全も勿論あるが、漢方的には陰、虚証で、腎の衰え、特に腎の陽気の衰え(腎陽虚)と考えて良いのではと思い、八味丸を処方した。尿の出がすぐに良くなってきた。
 
  もう一例は、もう何年も前から頻拍と浮腫で苦労してきた年配の女性である。やや重症の糖尿病があり、こちらは他の病院で治療を受けている。時々浮腫が著明になるこの方にも八味丸が非常に良く効いた。
 
  糖尿病を他院で治療されているため、筆者の方も少し遠慮があったのだが、早く出していれば良かったと考えさせられた。
 
  八味丸の適応病名を現代医療の病名で書くと、前号に述べたように色々あり、2例日の糖尿病等も記載されている。
 
しかし、心不全となると、すぐには八味丸が出てこない。
 
  漢方治療は現代病名に捕らわれずに、柔軟な思考で証を診断することがいかに大切か、改めて反省させられたことであった。 
 
  なお、八味丸から桂枝と附子を除いたものが六味丸という漢方で、中医学の腎陰虚、寺沢捷年氏の言を借りると、腎陰液の衰えが主となり、冷えと浮月腫は少ない。
 
【タンポポ (別名=蒲公英)】   
  もうちょっとすると、どこでも目にとまる花である。薬用部位は葉、茎、根(花の咲かない前の根を掘り、日光に当てて干してから用いる)薬効は、胃痛、便秘、肝炎、浮腫、乳汁不足、とげの刺さった時、腫れ物、イボ等である。
 
■胃痛=根にも葉にも健胃の効があるので、便秘の傾向のある消化不良に根又は葉をせんじて飲む。
 
■肝炎=肝炎や黄疸のあるものに用いる。
 
■浮腫=同様に根または葉をせんじて飲むと、尿の出をよくし、浮腫を去る効がある。葉をサラダにしたりゴマ和えにして食べても良い。
 
■乳汁不足=産後、乳汁の出の少ない人に、葉をおひたしにして、7日以上続けて食べると良い。根をせんじて飲んでも良い。
 
■とげの刺さった時=根または、茎を折ると白い汁が出るから、それを塗ると良い。イボに対しても同様である。
 
  なお、西洋タンポポが最近は増えていて、こちらの方が苦味が少なく、食べ易いという人がいる。

JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
JA千葉厚生連 医師 中村常太郎
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